司法書士試験に合格した後、「いつから就職活動を始めればいいの?」「研修との両立は可能?」といった不安を感じる方も多いのではないでしょうか。これまで勉強一筋で走ってきたからこそ、就活のタイミングや面接対策、実務経験の積み方には悩むものです。
本記事では、司法書士の就職活動のベストタイミングや、面接時の注意点、研修との上手な両立方法、さらには年齢や未経験に関する不安まで、幅広く解説します。就職先の見つけ方についても具体的に紹介していますので、司法書士としての第一歩を安心して踏み出せるよう、ぜひ参考にしてください。
就活は早いほうがいい?
司法書士試験に合格したら、「就職活動はいつ始めるべきか」と悩む方も多いでしょう。
結論から言えば、焦る必要はないものの、早めに実務を経験しておくことは非常に有益です。
合格後は、各種の研修が控えているため、「研修が終わってから就職を考えよう」という方もいるかと思います。それも一つの考え方です。また、長期間の受験勉強を経て「少し休んで、今までできなかったことをしたい」と思う方もいるでしょう。明確な目的があるのなら、その時間を取るのもよい選択です。
ただし、単に「研修を終えないと不安」という理由で就活を先延ばしにしているなら、研修前でも就職活動を始めることをおすすめします。研修の多くは司法書士としての心構えや基礎知識を学ぶ内容が中心で、実務スキルは現場でしか身につきません。
そのため、筆記試験の合格発表を受けた段階で、すぐに動き出しても問題ありません。口述試験はほとんどの方が合格するため、結果を待たずに就職先を探しても差し支えないでしょう。
さらに、研修や登録にかかる費用も少なくありません。受験中に仕事を控えていた方にとっては、経済的な理由からも早めの就職が安心材料となります。
面接での志望動機
司法書士事務所の面接で、志望動機として「勉強させてください」と答える方がいますが、これはあまり良い印象を与えません。
司法書士事務所に勤務するということは、事務所の一員として「どのように貢献できるか」を伝えることが重要です。事務所は学校ではなく、あなたに報酬を支払い、戦力としての活躍を期待しています。したがって、「勉強させてください」という受け身の姿勢は適切ではありません。
もちろん、入所後は先輩たちから丁寧に指導を受けることになりますが、それは「教えてもらうから給料をもらえる」のではなく、「仕事を通じて貢献し、その対価として報酬を得る」という対等な関係の中で成り立っています。
受験勉強中は、予備校などで自分がお金を払い「お客様」として学んでいたかもしれません。しかし、これからは「報酬を受け取る立場」になる以上、事務所にとって価値のある存在であることが求められます。
面接では、「自分のどんな点が事務所の役に立つか」「どのように貢献していきたいか」を具体的に伝える姿勢が大切です。
未経験でも問題ない
「未経験でも働けるのか不安…」という方もいると思いますが、心配はいりません。司法書士試験合格者の多くが、就職時点では実務未経験です。実際、実務経験を持って就活をする方はごくわずかです。
むしろ未経験だからこそ歓迎される場合もあります。実務経験者は、自分なりのやり方や慣れた手順が染みついていることもあり、事務所側としてはゼロから丁寧に指導したい場合、未経験者の方がスムーズに馴染んでもらえると考えるケースもあります。
大切なのは、未経験であることを前向きに捉え、学ぶ姿勢や柔軟性を持っていることです。安心して応募してみてください。
研修との両立について
研修と就職を両立できるのか、不安に思う方も多いかと思います。実務経験を早めに積むことが大切とはいえ、「研修にきちんと参加できるのか」「勤務と両立できるのか」など、気になりますよね。
この点については、面接の際にしっかり相談しましょう。たとえば、「研修期間中は休みをもらえるか」「勤務形態を柔軟にできるか」などを事前に確認することが大切です。
実際に私の事務所でも、新人の合格者が「認定考査の試験が終わるまではアルバイトとして勤務したい」と希望し、それを尊重して週3日程度の勤務からスタートし、試験後に正社員として本格的に働き始めたという事例があります。
このように、研修や認定考査との両立について理解のある事務所は多いです。ただし、中には研修参加に消極的なケースもゼロではありませんので、面接時に条件や希望をしっかりすり合わせることが大切です。
基本的には「研修に参加させない」という事務所は稀ですので、過度に心配する必要はありません。ポイントは、事前にしっかり確認し、誠実に相談することです。
年齢が高くても大丈夫?
司法書士試験には年齢制限がないため、30代・40代、さらにはそれ以上の年齢で挑戦される方も珍しくありません。そのため、「年齢が高いと就職が難しいのでは…」と不安を感じる方も多いようです。
しかし、実際には年齢が高くても、試験に合格していれば十分に就職のチャンスはあります。特に首都圏では、年齢を理由に採用を見送る事務所はそれほど多くありません。
もちろん、地方在住で家庭の事情などにより勤務地が大きく制限される場合は、選択肢がやや狭くなる可能性はありますが、それを除けば年齢だけで不利になることはほとんどないでしょう。
重要なのは、年齢よりも「誠実さ」「学ぶ姿勢」「柔軟性」といった基本的な仕事への取り組み方です。合格者としての自信と誠意を持って、前向きに就職活動を進めていけば、きっと良い出会いがあるはずです。
就職先の探し方
最後に、司法書士としての就職先を探す主な方法をご紹介します。大きく分けて、以下の3つの手段があります。
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司法書士会の求人ページ
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司法書士JOBサーチ(専門求人サイト)
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人材紹介エージェントの利用
まず、司法書士会の求人ページと司法書士JOBサーチは、誰でも自由に閲覧・応募ができるため、比較的利用しやすい方法です。特に希望の地域や業務内容がある程度決まっている場合は、情報を絞り込んで探せるので便利です。
一方、エージェントを通しての就職活動も選択肢の一つです。条件の交渉や情報収集を代行してくれるため、効率的に探したい方には向いています。ただし、就職が決まった際には紹介料が発生するため、事務所側にとっては費用負担が大きくなる点に注意が必要です。そのため、できれば求人ページなどで直接応募してもらえると、事務所としてはありがたいというのが正直なところです。
とはいえ、「希望条件が合わない」「非公開求人を知りたい」などの場合には、エージェントを活用するのも有効な方法です。状況に応じて、最適な方法を選びましょう。
まとめ
司法書士試験に合格した後の就職活動は、早く始めることで実務経験が積めるだけでなく、研修費用など金銭面の負担を軽減できるというメリットもあります。面接では「貢献できること」を意識した志望動機を伝えることが大切です。未経験や年齢に不安を感じる必要はなく、多くの事務所が柔軟に受け入れています。また、研修との両立も事前に相談すれば十分可能です。就職先の探し方も多様化していますので、自分に合った方法で効率よく活動を進めてください。焦らず、でも一歩ずつ前に進むことが成功への近道です。
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